ポエム・DA・特殊部隊
きみは特殊部隊だ
すべての開かれた窓へとびこめ
きみは特殊部隊だ
鍵のかかったドアをけやぶれ
きみは特殊部隊だ
ひいらぎの葉のような炎をのりこえ
かつてやさしい涙にぬれ
いまはすすけた頬をニット棒にかくし
閃光のグレネードが
善いおこないも悪いたくらみも
真っ白にけしとばせる
きみは特殊部隊だ
きつくしばられた人質をすくえ
確保しろ そして解放しろ
きみは特殊部隊だ
きみの任務は特殊なものだ
ケブラーのジャケットと手袋ごしに
あらあらしい振動とともに
きみが審判を下す
傲慢だ と神学者は云うかも知れない
しかしかれらの祈りの言葉も
銃弾の速さには追いつけない
特殊部隊のきみはある日運命にやられる
すべてのおいしかった食べ物と
うつくしかった景色と
たのしかった友との交わりと
それらをすべて一万マイルのかなたに押しやって
きみは砂のういたコンクリートにひざをつく
いくつもの光の束がきみをかけぬけてゆく
きみはなぜか天井を仰ぐ
うすぐらい天井はなぜかとてもたかい
無線の雑音だけがきこえて 砂と血をまぜる
特殊部隊のきみは
さいごにいちどだけたちあがる
まぶしくあけはなたれたとびらへむかう
閃光のグレネードが
善いおこないも悪いたくらみもすべて
真っ白にけしとばせたあとで
そこにきみをむかえる
おおぜいのもとへきみはあるく
きみはかつては特殊部隊だった
名もなき顔も知れぬただの力だった
だがいまは羊とたわむれ
小川に足をひやし
花の蜜をすって 口笛をふいている
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