師走の町に単車が転ぶのだ
災厄や危機はいつも
見知らぬ他人の顔をして
我々の傍らを
通り過ぎているのかも知れない。
と利いたふうなことを
先日書いたのは
他ならぬワタクシである。
とくに深い考えが
あったわけでは当然なく、
ただ単に
カシコぶってみただけである。
まあそうはゆっても確率的に
そんなにひんぱんに
災難の傍の数センチを
すれすれで通り過ぎちゃったり
してるわけもなくて、
日々安穏と過ごしているのが
実状である。
正直、とってもゆるい。
我が暮らし。
ので、自ら発した警句も
ぜんぜん自分の中で
説得力を持って響いていない。
ふだんからいろんな
珍しいできごとの
決定的瞬間に遭遇する確率が
そんなに高いほうでもなければ
そうゆうココロの準備をして
日々緊張感を持って
暮らしているわけでもないし。
なんだけど先日眼の前で
あ、やっぱり災厄や危機は
偶然隣りを歩く
見知らぬ誰かなんかなって
思わせる出来事が発生。
その日は
寒気がやっと本腰を入れ、
これぞ師走、年の暮れとゆう
ぴきっとした空気を演出していた。
ワタクシは一張羅のドカジャンを
ひっぱり出して、
ナンホック号を駆り、
晩メシの買い物に出かけた。
ほんの少し
欠けているかも知れないが
ほとんどまんまるに見える月が
煌々と夜道を照らしている。
その青白い輝きは
いくらかでも熱を降らせ
地上を暖めるどころか、
かえって眼に見えぬチカラで
凍てつかせているみたいだ。
しかしユニクロで買った千円の
めっちゃぬくい
カモフラの手袋までして、
さらに唇には乾燥防止の
リップクリームまで塗るという
万全の態勢で、
ナンホック号のペダルをこぐ脚も
力に充ちている。
そうだ、こんなさぶい夜は
塩鮭の粕汁にしようっと。
我ながらの名案に
胸をときめかせ、
腹をうならせて
買い物を済ませる。
ついでにそろそろ
新しいミスターバイクが
売ってるかなって思って
近所のファミマに偵察。
まだ売ってなかった。残念。
はやく読みたいなー。
さぶいけどきょうは手袋もあって
心強いから、
ジャスコにも足を伸ばそうっと。
そう作戦変更して、ふたたび
ナンホック号に跨り
さっそうと歩道を走り出した。
走り出した、ら。
ま、こんな前置きを長々と
引っぱることでもないんだけど。
眼の前で単車が
軽四の鼻先に
ぼがん、ってぶつかって
がしゃーって滑っていった。
交通事故。
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