2006/12/07

師走の町に単車が転ぶのだ

災厄や危機はいつも
見知らぬ他人の顔をして
我々の傍らを
通り過ぎているのかも知れない。

と利いたふうなことを
先日書いたのは
他ならぬワタクシである。
とくに深い考えが
あったわけでは当然なく、
ただ単に
カシコぶってみただけである。

まあそうはゆっても確率的に
そんなにひんぱんに
災難の傍の数センチを
すれすれで通り過ぎちゃったり
してるわけもなくて、
日々安穏と過ごしているのが
実状である。

正直、とってもゆるい。
我が暮らし。
ので、自ら発した警句も
ぜんぜん自分の中で
説得力を持って響いていない。

ふだんからいろんな
珍しいできごとの
決定的瞬間に遭遇する確率が
そんなに高いほうでもなければ
そうゆうココロの準備をして
日々緊張感を持って
暮らしているわけでもないし。


なんだけど先日眼の前で
あ、やっぱり災厄や危機は
偶然隣りを歩く
見知らぬ誰かなんかなって
思わせる出来事が発生。

その日は
寒気がやっと本腰を入れ、
これぞ師走、年の暮れとゆう
ぴきっとした空気を演出していた。
ワタクシは一張羅のドカジャンを
ひっぱり出して、
ナンホック号を駆り、
晩メシの買い物に出かけた。

ほんの少し
欠けているかも知れないが
ほとんどまんまるに見える月が
煌々と夜道を照らしている。
その青白い輝きは
いくらかでも熱を降らせ
地上を暖めるどころか、
かえって眼に見えぬチカラで
凍てつかせているみたいだ。

しかしユニクロで買った千円の
めっちゃぬくい
カモフラの手袋までして、
さらに唇には乾燥防止の
リップクリームまで塗るという
万全の態勢で、
ナンホック号のペダルをこぐ脚も
力に充ちている。

そうだ、こんなさぶい夜は
塩鮭の粕汁にしようっと。
我ながらの名案に
胸をときめかせ、
腹をうならせて
買い物を済ませる。

ついでにそろそろ
新しいミスターバイクが
売ってるかなって思って
近所のファミマに偵察。

まだ売ってなかった。残念。
はやく読みたいなー。

さぶいけどきょうは手袋もあって
心強いから、
ジャスコにも足を伸ばそうっと。
そう作戦変更して、ふたたび
ナンホック号に跨り
さっそうと歩道を走り出した。

走り出した、ら。

ま、こんな前置きを長々と
引っぱることでもないんだけど。

眼の前で単車が
軽四の鼻先に
ぼがん、ってぶつかって
がしゃーって滑っていった。


交通事故。

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2005/08/15

神様の通った時間

こんな日だから書くことにする。

午前8時ごろから粒の細かい雨が降りだした。


メディアの端っこで仕事をしていると
いやでも耳に入ってくるのは今日の日のことだ。

戦後60年。


教育がどのようにも人間性を変えられるかというと
ワタクシはいまひとつ懐疑を抱いていて
自分の個人的な性質については
時代と環境を違えても
同じように発露していたんじゃないかという
漠然とした確信のような気持ちがある。

しかし、それはすでに自分という
もろもろの条件と
外的因子によってかたちづくられた
思考回路の中でのパターンに過ぎないので
そもそも自分を離れて
自分が自分でありうるという
証明ができないので、
もしかしたら違うように育ったべつの自分は
こんなふうに考えないのかもしれない。

いまの時代と自分とは不可分で
いまここにいるからこその
それまでの道のりをも含めて
ワタクシ自身なのかもしれない。

でもそれにしても、とは思う。
きっと戦争反対とか思う気持ちは
戦後教育の洗脳の結果ではないと信じたい。

ただどっちかが正しいのではない、
ということも云えて
時代の必然なんて言葉も
したり顔で使われてしまえるほど
ひとりひとりの思いは小さい。

だとしても自分が正論を唱えているという
保険はなくていい。
やっぱり、祈りをささげる側に
自分はいたいと思うのである。

気がつけば昭和より平成を長く生きてきた。

ぽろぽろと指の隙間から
すくった水をこぼしながら歩くような
このワタクシの暮らしでさえ
この豊かな時代に
どうにか流れてゆけているんだと思うと
もちろんさまざま問題はあるにせよ
きっと恵まれた時間だったんだなと思う。

それはきっと神様がいた時間なのだ。

そんな悠長なことを
書いていられる自分だけが
ぬるま湯の31年を
過ごしてきたのかもしれないけれど。

ただきょうだ明日だと手帳を開く合間に
ほんの少しでもそんなパースペクティブを
ワタクシはここに
書きとめておきたいと思った。

あとどのくらい神様が同じ方向を向いて
歩いていってくれるかは判らない。
判らないけれども
臆せず行きたいと思う。

ゆうべの缶ビールと
今夜の缶ビールとの間に
太陽と月とが停まることなく
風が炎に変わることなく
たとえワタクシの見えないところであっても
誰かが声を上げて笑えている
そんな神様の通る時間が
少しでも長く続きますように。


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2005/08/05

ボス猫とスコール

午後2時ごろ、
しだいに異音の増してきた
アドレスV100
沈思黙考号トリコロールSPLに跨り、
信号待ちをしているとき、
肌の上にのしかかってくる熱気に
まるでほんとうに
重みがあるかのように感じた。

熱がぐいぐいと身体の表面を
押さえつけてきて
それでどばっと水分が
搾り出されてしまうんじゃないかと思った。

非科学的なことを云っていますが
実感としてはそんな感じです。

あづすぎます。


と思っていたら午後3時ごろには
激しい雨が降り出した。

ややせっかちな夕立で
その勢いはまるでTVで見た
フロリダのユニバーサルスタジオの
アトラクションみたいだった(想像)。

タンクローリーががーんて
横倒しになるやつ。

ちょうど心斎橋筋にいたので
濡れずに済んだが、
アーケードの
光を透かす樹脂製の屋根に叩きつける
激しい雨音を聞いていると
しかし、これでよいのかと
ふと心配になったりするのだった。

これではまるでスコールである。
どうも全体に熱帯っぽい(想像)。
これから先
ガラスの地球を救うために
どないしたらええんやろうかああ。


心斎橋筋にはなぜか
気合の入ったゴスロリ系の
女子中高生が大量発生していて、
オペラ座の怪人よろしく
隻眼の仮面をつけていたりした。

その横でおそろいのTシャツを着た
香港からの観光ツアーの客が
大声でわめいていた。

夏休み情緒、満開。

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2005/05/24

アラームが聴こえる

至福の涼しさです。


きょうにいたるまでゆうに48時間以上
おのれの弱さと戦いつづけたすえ
ついに洗濯物を干すことに成功した。

いつものことながらどうして
そんなに時間がかかってしまうのか。

経緯はこうである。

朝、洗濯機を回す。
念のためにことわっておくと
怪力で持ち上げて
ぶるんぶるん回すのではない。

洗濯完了のピピピが鳴る頃
出かけるまで
もうあと10分を残すくらいになっている。

そこでピピピに促されるまま
すっくと立って
出かける間際にベランダに干してゆけば
すべて滞りなく済むのだが
心の準備が間に合わずに
出かける時刻になってしまう。

あるいは休日であっても
洗濯機の回る水流の音を
ごろごろと聴いているうちに
自然の音に癒されてお昼寝してしまう。

目が醒めれば夕方だ。

で、ええい、いいやあとか思い直し
その日の洗濯物をプラスして
翌日に再度洗濯。

以下、この繰り返しが3回とか続く。

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2005/04/24

ささやかな幸運とエクトプラズム

新潟にはどっさり雪が残り、
宮城ではまだお花見ができるらしいですが
大阪は鼻血が出るほど
春どまんなかです。

おふとん干せばよかったなああ。
でもそのおふとんでお昼寝していたのは
何を隠そうこのワタクシ自身なのだが。


このところ、ワタクシに
ささやかな幸運が降り注いでいます。

たとえばきのう、バイク屋さんが閉まってから
店長さん宅にお呼ばれしに向かう途中で
ガススタに寄ったのだが
そこでワタクシを応対してくれた
バイトのお兄ちゃんが。

これがあんまりいらちでないワタクシでも
どうかと思ううくらい不慣れで。
「669円のお返しです」
と、まだ払ってもいない料金を
お返しです、などと云い間違う始末。

5.5リットルで669円。
おわ、さいきんガソリン高いわと思いつつ
彼に千円札で払うが、やたらまごまごして
待てど暮らせど
おつりを返しに来てくれない。

そのうちに後ろに順番待ちのクルマが。

見かねてか、
徳井優さん似の正規の社員らしきひとが
替わってくれる様子。
徳井さんは早足でワタクシに駆け寄ってきて
「669円のお返しです」

……。

そそくさとエンジンをかけてR171に復帰。
ニゲロヤニゲロ。

5.5リットル331円でゲットしました。

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2005/04/04

頭上の光、眼下の人

ほおら午前4時とかになっちゃった。
3本ある原稿のうち2本は
曲がりなりにもカタチになった。

画竜点睛を欠くどころか
でたらめの虫食いだらけだが
どうせ私で完結する類いの案件ではなく
他の人に投げちゃえばいいものの草案、
いわば叩き台なので、
そんなに怖くない。

けれど問題は残りのひとつである。
まだちょっと説得力のない内容で
ありていに云って煮詰まっております。

あがががご。

だってまだ書ける気がしなかったんだもん、
アイデアが湧いてこないんだもん。

と云い訳してみたところで
お尻拭き拭きは自分でしなきゃならないのだ。

わおー。わおおおおー。

ところで今ワタクシがこれを書いているのは
もちろん逃避以外の何者でもないが
じつはさきほどワタクシ
ヒッチコックの「裏窓」ばりに事件性のある
偶然の目撃者となりましてな。

怖いのでここに書いて証言を残しておきたいと
思ったわけなんである。
おそるべき深夜の出来事の一部始終を。

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2005/03/12

桃栗3年、桃鉄15年

さぶいさぶい。

天気予報ではきょう
真冬の寒さがぶり返すとのことで、
心の準備は万全だったが、
しかしどんなに身構えていても
さぶいものはさぶいです。

さぶい。

こう寒いと外なんか不必要に出歩かずに
部屋にこもって
コタツでポテチやポップコーンを食べ食べ
プレステ2でもしていたい。

だから、というわけでもないのだけれど
きょうは午後から弟の家に集合し
兄弟3人+後輩1人とゆう面子で
桃鉄USA大会をしていました。


楽しかったです。
ひさびさに半日がっちりTVゲームをしました。


わざわざそのために大の大人が4人
スケジュールを合わせたんである。

と云ってもそのうちふたりくらいの
スケジュールは
わりとすぐ合うけれど。


以下余談。

ゲームの内容を
あまり解説せずに書いておきます。
もともとこの日記に
まったく有用な情報はないのですが
今回はいつもにもまして
狭いほう狭いほうへ向かうベクトルです。

なんか謝っておきます。すみません。

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なくなってく本屋

基本は信じまい信じまいと思いながら
ついつい星占いとか見てしまうのだが
占いのラッキーアイテムって
ときどきとんでもなく自分に関係なかったりして
びびる。

ラッキーアイテム:マスカラ

ってどうすればいいのだ。

かと思うとピンポイントで
自分に語りかけているのかって思うのもある。

きょうはDVD編集が吉。

インターネットの占いだから
見ている人のなかには比較的
そんなこともする人はいるかも知れないが
それにしたって、である。

で、基本的にはDVD編集をしておりました。

ラッキーだったのか。

外を歩いていたら隕石にでも
脳天を直撃されて死んでいたのか。

外、と云えばマンションの向かいに
昔ながらの貸し本屋(システム不明)が
あるのだが、そこがなんかこのところ
注目されているのかも知れない。

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2005/03/09

ありがとう、ひさしぶろ、ブタの神様、5000円パン

お昼、納豆ごはん。
玉子を割ったとき、うっかりほかのことを考えていて
あやうく中身をゴミ袋に割り入れそうになった。

きょうは、すんでのところで踏みとどまった。
黄味が半分顔を出して、
この薄汚れた、それでいて輝ける世界を
ほんの少し偵察していた。


納豆ごはんに
ごま油ひと垂らしコショウぱっぱで
チャーハンの味に近くなります。お試しあれ。


しかしきょうもぬくいですね。
ついに本日、ワタクシ、暖房をかけておりません。
名実ともに春の到来に心がゆるみますね。

ですが、またしても部屋にこもっております。
昨日の勇ましいゲッティング・ベターな気合いは
薄れてはいないものの
やはりローマは一日にしてならずである。

心はどこへでも旅立てど
身体はかなしい自分とゆう牢獄の虜囚である。


きょうはそんなワタクシの
割れた体温計の中を飛び出した
水銀のちいさな粒のように
転がりつづける養分ゼロのネタ
4本立てでお送りします。

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2005/02/24

再会の自販機

さぶいさぶい。大阪は午後からけっこうな雨です。

しかしワタクシの心の暦のうえでは
きのうから春ってことになっているので、
これはしかし春の雨なのだ。
この雨が告げるのは冬の終わりではない。
春の始まりだ。

そう思うだけで雨の冷たさもどこか芯のほうで
ほんのり新しい季節への
ちいさな分子の振動と熱を感じることができた。

でも週末は氷点下ですって。
春だ宣言撤回しようかしらん。


そんな新しい季節の始まりに
偶然懐かしい顔と出会った。

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