ワタクシはターミネーターになりたい
最近の若者は……などと
口にするかどうかというのは
自分がおっちゃんになった
ひとつの証しなのだろうというのは
客観的によく判る。
だって37歳なのである。
驚きだが中年どストライクなのである。
いつまでも若いつもりじゃいられなくて、
いくらか少子高齢化のあおりで
緩やかになってきているとはいえ、
続々次なる世代が
生まれ育ってきているのである。
あの頃の未来に僕らは立っているのである。
しかしよもやこうまで自分が
若者の醜態を嘆く立場になろうとは
予期だにしなかった。
最近立て続けに数件、
まるで社会性を欠いた
若者の身勝手かつ未熟かつ醜悪な
立ち居振る舞いを目撃する機会があり、
本気でやつらのブザマさに
不快感を禁じ得ないのである。
あれ俺らも若いころこんなだったっけか?
こんなに周囲をはばからず傍若無人に
子供じみたマナーで
世の中うろついてたっけか?
と首をひねることしばしば。
首をひねりすぎたあまり筋が違ったり
なぜか上腕部が攣ったりしているのである。
や、わかりますよ
立派な若者だっていることは。
ワタクシが眼にしたのは
ごく一部の極端な例であって、
それがたまたま夏休みとかで
世の中に多くうろついているだけで
あろうとゆうことは。
それにしてもなああ。
以下、バカどもの振る舞いに対する
大人げない愚痴と陰口。
まず最初のケースは
大阪駅に新しくできた映画館に
このあいだ「SUPER8」を
観に行ったときのこと。
オフィシャルホームページを
ご覧いただいてもわかるとおり
ビルの11階に入っているシアターである。
エレベータに乗れば、
途中階を全部停まったとしても
ものの1分やそこらで到着するのである。
十代後半・高校生以上とおぼしき
4人組の男女が
我々と一緒のエレベータに乗り込んだ。
他の客も併せて、
エレベータはほぼ満員というくらいの
人数であった。
少々窮屈だが冷房も効いているし、
11階というのは先ほど述べたように
まあそのうちに着く高さである。
我々は久々の映画に心を躍らせ、
期待に満ち満ちていた。
と、同時に懸念するのはいつも、
隣や近くの席のお客さんのマナーである。
ケータイ鳴らすとか私語が多いとか、
そういう客のそばにあたったときは
その客に入場料を払ってもらいたい気持ちに
なることさえある。
我ながら狭量なのである。
マクドナルドとか匂いのキツイもん
食べられるのもいやよなー、
そうそう、一緒に乗り込んだ
この若者みたいに。
うん、マクドの紙袋持ってるね。
同じ劇場じゃないことを祈る。
と、そのとき急にてりやきバーガーの匂いが
狭いエレベータの中で充満。
ワタクシは位置的に彼らに背を向けていたが
一緒にいた妻からは
彼らの行動がはっきり見えたらしく、
「え~!」と云ったなり
眉をひそめ鼻をつまんだ。
振り向いたワタクシはその場の光景に
我が眼を疑った。
あろうことか、4人組のうちひとりが
何をいちびったか、狭いエレベータの中で
てりやきバーガーを食べ始めたのである。
食べ歩きならぬ、
まさかの食べエレベータ。食べータ。
それもソースのたっぷりかかった
てりやきバーガー。
いちばん服についてほしくないてりやきを
満員に近いエレベータで食べるという
食のテロリズム。
え~~~~~~~~~~。
エレベータを下りた後も
彼らは残りのマクドを
フロアのじゅうたんに坐って食べてた。
何だ? ただの田舎者か?
さいわい彼らは
我々と違う作品を観たようで
映画自体はすんなり楽しめたが、
驚きとぬぐいきれない不快感が
てりやき食べた後のゲップみたいに
いつまでも残った。
続いてのケースは、
こないだ仕事で使った新幹線でのこと。
夏休みというのはほんとうに
新幹線の乗車率が上がりますね。
そして最近は若者も
のぞみの指定席をとりますね。
新大阪で、ワタクシが
ほかの乗客ともども
ぞろぞろと降りようとしたときのこと。
眼の前に10人近い男女のグループがいた。
観たところ大学のサークルか何かの
旅行帰りのようで、手に手にそれなりに
大きな荷物を提げていた。
彼らの席はワタクシよりも
出口に近いところにあり、
彼らが降りるのを
ワタクシが待つかたちになった。
と、そのうちのひとりの女子が
自分の前の席に坐っていた男子3人の
立ったところを見て、
「ひどっ」とひとこと云い捨てて
男子のひとりを睨みつけた。
すると男子はこびへつらうように
卑屈な笑みを浮かべ、
「ほんまひどいっす、考えられないっす」
と他人のように云った。
「ふ~ん、自分でも判ってんねや」
と女子は云い、
男子をもう一度咎めるように見て
スタスタと出て行った。
はて、何がひどいのかと
彼らのいた席を見ると、そこはごみの山。
フロントポケットにはビールの空き缶が
いくつも突っ込まれ、
駄菓子やおつまみの包装に至っては
床にまで散らばっていた。
「ひどっ!」
思わずワタクシも口走ってしまった。
未就学児童かおまえらは。
のぞみの指定に乗れるスーパー幼児か。
「ほんまひどいっす」とか
へらへら云う間があったら
ごみを持ち帰れんもんか。
まったく、
それを掃除する人への
配慮というもんがないんである。
そう、彼らのケースに共通するのは
非常識なまでの
他者への配慮、いたわりの欠如である。
エレベータでてりやき食ったら
皆嫌がるだろうなとか、
ごみまみれにして降りたら掃除係の人
大変だろうなとか、微塵も思わないか、
思ったとしても
すぐどうでもいいことにしちゃうのである。
最後のケースがいちばんひどい。
昨夜のことである。
昨夜と云えば大阪近辺在住の方には
ピンとくる方もいらっしゃるかも知れない。
8月6日(土)淀川花火大会である。
ワタクシはあいにく仕事で京都におり、
花火のドンと云う音すら
聞かずに終ったのだが、
京都から戻るときに
花火が終わった後の帰宅ラッシュに
思いきり巻き込まれた。
駅のホームには
一目見て花火帰りと判る
浴衣姿の女性などがうじゃうじゃいる。
所用あって、梅田から難波まで
地下鉄御堂筋線を
利用せねばならなかった。
電車はすし詰めまではいかなくとも
容易には居場所を変えられないほどに
満員状態であった。
と、逆側の扉まで逃げたワタクシの前に
若いカップルが立った。
男のほうは色白で華奢、
メタルフレームの眼鏡に
染めていない黒髪、
英字の書かれた黒いシャツ、
というような、そんなに
女性経験が豊富ではないようなタイプで、
ストレートに云えば
ヲタクっぽいやつだった。
女子のほうも化粧っ気がなく、
ギャルファッションからは程遠い。
ワタクシは知っている。
えてしてヲタクっぽいやつらのほうが
公衆の面前でいちゃいちゃ
辺りをはばからず
恋愛行動にいそしむ傾向があるのを。
下手したら男のほうが
「痴漢とかに気をつけてね、何かあったら云ってね」
とか何とか、にちゃついた声を出しそうな
雰囲気満点なのである。
あ~~場所取り失敗したな、
とこの時点ですでに思ってはいた。
しかしこのあと彼らはワタクシの予想を
はるかに上回る行動に出た。
なんと満員電車の中で男が
女子にぶちゅっとキスをし始めたのだ。
それもムード満点の会話とかもなく
他愛もないバイトの話とかしつつ、
会話が途切れたらいきなりぶちゅう。
それが梅田~難波間をずっと。
ワタクシの目の前1メートルと
離れていないところで。
え~~~~~~~~~~~~~~~~。
いちおう吊革を持つ手で
口もとを隠しているが、それがかえって
不快さを増している。
しかも別に見たくて
見ているわけじゃないのだこっちは。
なのに男ときたら
さらに驚愕すべき行動に出た。
なんとちゅっちゅしながら
メガネのレンズの奥から
何見とんねん的な眼で
こちらを睨み返してくるのである。
断わっておくが
羨ましくもなんともない。
こちらとて妻帯者であり夫婦円満である。
ただ電車の混雑のせいで
おまえらがたまたま目の前にいるのだ。
何も好き好んで
覗きにきたわけじゃないのだ。
どちらかと云えば被害者はワタクシなのだ。
女子だってされるにまかせてはいるが、
基本、男が衝動に負けて
ぶちゅっとしちゃう感じ。
あまりうっとうしくて、ワタクシは
ガッと邪眼で睨みかえし、
男に死の呪いをかけた後、
何とか身をよじって彼らに背を向けた。
と、周囲の客の表情をうかがうと、
皆一様に教学と侮蔑の眼差しを
向けているのが判り、
ワタクシは少し救われた。
何なのだおまえら若者は。
なんだってそこまで傍若無人になれるのか。
ゆとり? ゆとりなの?
万博記念公園に
船をかたどった大きな遊具がある。
「ワンピース」人気もあり、
子供の一部からは「ルフィの船」なんて
呼ばれたりしている。
そこは連休なんかに行くと
あまりの子供の多さに
船が砂の中に
沈んでゆくんじゃないかと思うほどに
にぎわっている。
観察していると、そこで遊ぶ子供たちは
もちろん全員がひとつのグループになって
遊んでいるわけじゃなくて、
それぞれ数人単位で、
ほかの顔も知らない子供たちを
たくみに「無視」しながら
遊んでいるのが判る。
これと同じことがいま
社会に出てこようとしている若者に
起きている気がしてならない。
彼らは風景の中の他人を
自由に消去できるのである。
なんだかなああ。
きっと我々も昔はそうだったのだろう。
傍若無人で恥知らずで
無責任で浅はかだったのだろう。
けれどもこう立て続けに遭遇すると
かなり神経をやられる。
嗚呼、ワタクシはターミネーターになりたい。
そして鋼鉄の腕であのバカな若者を
次々投げ飛ばしたいと思うのである。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
けんちゃんへ
こんばんは。
先程は、偶然会えて嬉しかったです。
ぼーっとしてるやら、気後れするやらで愛想なしですみませんでした。
また、ごはんでも食べに来てください。
追伸
けんちゃんのブログ何やったかなあ、と思って
「森男 徳島 家具 映画」でも見つからず
過去の記憶をしぼって
「鮑 ネグレクト」で辿り着きました。(こんなん書いていいのかな?)
辿り着けるものですね。
ほんまに睡眠とってくださいね。
投稿: ローズ | 2011/09/28 午後 10時30分